蓋裏銘に同じもの無し

再読!92歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (12),「京都新聞」2016年10月28日付26面記事を転載

東寺百合文書といいますと、まず注目されるのは、松雲公寄進の「百合」の桐箱だと思います。それだけではなく蓋裏銘も重要です。

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消えた一通の文書

再読!92歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (11),「京都新聞」2016年9月24日付22面記事を転載

2万点3万通という膨大な「東寺百合文書」を整理・管理していますと、あまり公にはなりませんが、裏話もあります。百合文書の整理を始めて5、6年たった頃、1通の文書があるべき場所に見当たりませんでした。その箱を点検しましたが見つかりませんでした。

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慎重論の中での府購入

再読!92歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (10),「京都新聞」2016年8月27日付24面記事を転載

前回は、京都府の東寺百合文書購入当初の全体の「晴れ姿」をご覧いれましたが、今回はそのうちの「ケ函」と「テ函」の2箱を掲載しています。中世そのままの百合文書でいかにも迫力のある写真です。残念ながら、もはや百合文書にはこのような素晴らしい姿は全くみられませんが、百合文書の整理はこのような状態から始まったのです。

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最初の「晴れ姿」

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (9),「京都新聞」2016年7月23日付24面記事を転載

掲載している写真は私にとっては実に迫力のある写真ですが、多くの読者の方には何だかよく分からないのではないでしょうか。どうやら文書が雑然とぎっしり箱に詰まっているようです。

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大般若経6合と文書箱94合

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (8),「京都新聞」2016年6月25日付26面記事を転載

東寺百合文書は、1997年6月、国宝に指定されました。東寺宝物館では記念として、その秋に特別展「東寺文書十万通の珠宝―時空を超えて」を開くことになり、準備を始めた頃だったと思います。学芸員(現文化財保護課長)の新見康子氏と宝物館3階の収蔵庫に上がりました。いつも目にしているのですが、ちょうどよい機会で「何か面白いことがあるかもしれない」と、国の重要文化財に指定されている大般若経6合の箱の蓋を開けて底裏を眺めてみました。すると、何と銘があるではないですか。これにはしばし、絶句しました。

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文書は百箱だったのか

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (7),「京都新聞」2016年5月28日付24面記事を転載

東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)については、加賀百万石の五代目藩主である松雲公前田綱紀(つなのり)が、1685(貞享2)年に百の桐箱を東寺に寄進して、早くから伝わった文書を納めさせたので百合文書と呼ばれるようになったといわれています。そして私もこの連載の第一回以降、おおよそこのような常識的な理解に基づいてお話をしてきました。

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「ゑ函」の蓋と桐箱

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (6),「京都新聞」2016年4月23日付22面記事を転載

写真をご覧ください。これは東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)の「ゑ函」の蓋です。百合文書の箱とその蓋については、全て京都府立総合資料館(京都市左京区、現・京都府立京都学歴彩館)に移管されたはずです。しかし、この蓋だけが東寺宝物館(南区)の所蔵として現在、同宝物館の春季特別公開(注・平成28年5月25日終了)で展示されています。どうもおかしいと思う方が多いと考え、この点について述べてみます。

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宝蔵と御影堂経蔵

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (5),「京都新聞」2016年3月26日付28面記事を転載

東寺の二つの顔は、「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」と「弘法さん」という二つの信仰形態、そして伽藍(がらん)と御影堂(みえどう)という堂舎のあり方の違いにとどまりません。寺宝の収蔵状況にもみられます。 

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「伽藍」と「御影堂」

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (4),「京都新聞」2016年2月27日付24面記事を転載

前回は、東寺(教王護国寺、京都市南区)の「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」と「弘法さん」がテーマでしたが、引き続き東寺の「二つの顔」についてみておきましょう。それは「後七日御修法」と「弘法さん」という二つの信仰形態にとどまるものではありません。その信仰形態の違いは、東寺全体の堂舎のあり方にも反映されています。

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「後七日御修法」と「弘法さん」

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (3),「京都新聞」2016年1月23日付22面記事を転載

新年早々の8日から14日まで、東寺(教王護国寺、京都市南区)では「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」が厳修されました。また、21日は「初弘法」で東寺の境内はもちろん、周辺も参拝の善男善女で大いににぎわいました。

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松雲公の偉大な功績

再読!91歳上島有(うえじまたもつ)さんの東寺百合秘話 (2),「京都新聞」2015年12月12日付28面記事を転載

東寺百合文書は、名が象徴するように我が国の古文書のうちでも特別な文書であります。文書の質や内容が特に優れていることは言うに及ばず、古くは奈良時代から江戸時代にいたる千年以上にわたる2万点3万通という大量の文書は、まさに壮観というべきでありましょう。これらの文書が現在に伝えられた最大の功績は、松雲公(加賀藩主前田綱紀)による「百合」の寄進というべきだと思います。

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