日々生活をしていると、思いもよらない怪我や病気に見舞われることがあります。しかもそれが最悪、死に至る病だったとしたら・・・。今回はそんな突然の病に関するお話です。
応永19(1412)年6月、後小松天皇は「蚊触」という病にかかりました。蚊触は皮膚炎の一種と考えられています。かの足利尊氏も蚊触を患い、命を落としました。事態を重く見た朝廷は、病気の平癒を願って祈祷をするように、東寺に命じました。上にあげた文書はその祈祷命令の文書です。
この命令を受けて、どういった祈祷を行なうべきか、供僧たちは話し合いました。次の文書はその会議の議事録である評定引付です。具体的にどのような意見が出たのかは書かれていませんが、複数の見解に分かれていたようです。最終的には、百人の法師を招き、「百座の薬師供」を行なうことでまとまりました。
こうした供僧たちの祈りが届いたのでしょうか、その後、後小松天皇はすっかり良くなりました。長い人生に病気はつきものですが、いつまでも健康でありたいものですね。
(鍜治:歴史資料課)