荘園フィールドワークのすすめ ①東寺コース

2020年はなかなか外出するのが躊躇われる1年でした。
また2021年も外出を控えなければならない状況にあるかと思います。家族や友人に会いたい!〇〇に行きたい!などいろいろ思いは募りますが、今回は「荘園フィールドワークのすすめ」と題しまして、当館が所在する京都市、その市内で行ける昔の荘園があった場所・荘園名が残っている場所をお散歩してみよう!というプランを2つ立ててみました。
また再び自由に外出できるようになったら、京都にお越しの際にぜひ散策してみてください♪

まず今1つ目に提案したいプランは当館所蔵の東寺百合文書が元々所蔵されていた東寺を巡るコースです!

コース① 東寺コース
1.植松荘→2.西寺跡→3.羅城門跡→4.東寺→5.八条院町

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※この画像はCC-BYでの提供ではありません。

スタートはJR西大路駅です。そして早速1つ目のポイント、植松荘があります。

①植松荘

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植松荘の名前が見える文書(オ函162号 山城国植松庄造内裏料棟別銭請取

植松荘はとても広大な荘園で、東寺領の植松荘は西大路駅東側(下京区梅小路西中町・下京区梅小路高畑町・南区唐橋平垣町・南区唐橋大宮尻町)に所在していました。現在、荘園だった頃の面影はありません。

植松荘を通り過ぎながら東に進むと、次は西寺に着きます。

②西寺跡

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西寺の名前が見える文書(ホ函53号 権大僧都堯忠等連署伽藍前株木注記

西寺は平安京の官寺として造営されました。正暦元年(990)に西寺の大部分、保延2年(1136)に別院(慈恩院)、天福元年(1223)に塔が焼失し、荒廃してしまいました。現在は公園になっていて石碑が建っています。

西寺跡碑
西寺跡

西寺をでて南に下り、九条通りに出たら東に進むと羅城門跡に着きます。

③羅城門跡

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羅城門の名前が見える文書(ホ函53号 権大僧都堯忠等連署伽藍前株木注記

羅城門は朱雀大路の南端に建てられた平安京の正門です。弘仁7年(816)大風により倒壊、その後再建されましたが天元3年(980)暴風雨で再び倒壊した後は再建されていません。現在は公園になっていて石碑が建っています。また羅城門の復元模型(1/10)が京都駅前に展示されていますのでそちらもぜひ見てみてください♪

羅城門跡碑
平安京羅城門 模型(1/10) 京都駅前

羅城門跡を出て東に向かうと東寺に着きます。

④東寺

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京都市南区九条町にある東寺真言宗の総本山です。延暦15年(796) 羅城門の東に創建され、平安時代以来ずっと同じ場所に建ち続けています。五重塔も有名ですよね!東寺には金堂や講堂など国宝・重要文化財の建造物がいくつもありますが、オススメの場所があります。

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東寺の北大門から北総門(八条通り)までの小路「櫛笥小路(くしげこうじ)」といい、道幅は四丈(約12m)あります。実は「櫛笥通」平安京の時に造られた櫛笥小路と同じ幅のまま現在も残っているのです!平安京の小路がどれくらいだったか、ぜひ見に行って体感してみてください♪

東寺をでて、最終目的地の京都駅に向かいます!

⑤八条院町

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八条院町の名前が見える文書(観智院9-2号 東寺領洛中散在敷地注文

実は京都駅前周辺には八条院町という荘園がありました。現在、荘園だった頃の面影はありませんが、京都駅八条口の案内所に八条院の解説パネルがあるのでぜひ見に行ってみてください♪

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コース① 東寺コースの紹介は以上です。
次回はコース② 桂川コースを紹介したいと思います!

(伊藤実矩:資料課)