禁遅刻欠席。評定のルール

東寺の中に成立した僧侶の組織は、それぞれ自治的な運営をしていて、重要なことがらはすべて評定(ひょうじょう)という会議で決めていました。百合文書からは、組織の主要メンバーである供僧(くそう)たちが評定に臨む姿をみることができます。

ひ函10号「東寺鎮守八幡宮供僧法式条々」暦応5(1342)年2月日

上の文書は鎮守八幡宮方(ちんじゅはちまんぐうかた)の評定のルールを取り決めたものです。毎月16日に評定を行うこと、遅刻や早退の禁止のほか、評定で自分の縁者や同宿の師弟に関することが扱われるときには退席することなどが決められています。また、文末には供僧の署名が据えられており、供僧たち自身の手によってこの法式が定められたことが分かります。たくさんの署名がありますが、日付の下からの30人以降の名前は後世に加えられていったものです。

ヨ函88号 学衆中評定式目
ヨ函88号「学衆中評定式目」康永3(1344)年2月日

こちらのほうは、学衆方(がくしゅうかた)の評定のきまりです。評定にひどく遅刻すると供料(くりょう、給料となるお米)をカットするという罰則が設けられています(第1条)。学衆方の供僧は東寺の僧侶だけではなく、普段は他の寺を本拠とする僧侶もいましたが、重要事項を話し合う際にはそのような他住の者であっても欠席は許されず(第2条)、また評定が終わる前に退出した者も供料をカットされることになっていました(第3条)。